
こんにちは。扇町漢方クリニックの院長、大沢です。
「体質別セルフケアシリーズ」第4回は《血瘀(けつお)》タイプです。
「昔から肩こりがひどくて…」
「月経痛がつらい」
「シミやあざができやすい」
こうしたお悩みがある方は《血瘀体質》かもしれません。
漢方では、このような症状を「血(けつ)の流れが滞っている=血瘀」と捉えます。
この記事では、血瘀の特徴や原因、体を“あたためて巡らせる”セルフケアの方法を、やさしくご紹介します。
◆血瘀とは?~「血の流れ」が滞った状態~
漢方でいう「血(けつ)」は、全身を栄養し、潤すもの。
これがスムーズに流れていれば、体はあたたかく、肌や髪も健康に保たれます。
しかし、何らかの原因でこの「血の流れ」が滞ってしまうと、「血瘀(けつお)」という状態になります。
いわば「ドロドロ血」「つまった川」のようなイメージです。
流れが悪いことで、痛みや冷え、肌トラブルなどが起こりやすくなります。
◆血瘀タイプの主な特徴
以下のような症状に思い当たるものはありませんか?
・慢性的な肩こりや頭痛がある
・月経痛が強い、血塊が混じる
・あざができやすい、シミが増えてきた
・下腹部が重い、冷える
・唇や舌が暗く、紫がかった色をしている
・刺すような痛み、決まった場所がズキズキ痛む
・顔色がくすんで見える
とくに「月経痛が強い・血の塊がある・冷えがある」という方は、典型的な血瘀の傾向があります。
◆血瘀の原因になりやすい生活習慣
血瘀の背景には、冷えや運動不足、そしてストレスが関係しています。
・冷えによる血管の収縮(冷たい飲食物・薄着など)
・運動不足による血流の停滞
・長時間同じ姿勢でいること(デスクワーク・スマホ)
・出産や手術、ケガなどの影響
・慢性のストレスや緊張(交感神経優位による血管収縮)
これらの要因が、体の中で「巡るべき血」を滞らせてしまうのです。
◆今日からできる!血瘀のセルフケア
血瘀体質のケアでは、「温めて、流す」がキーワード。
体を冷やさず、血の流れを助ける生活を意識しましょう。
①体を“芯から”温める
血の流れは温かい環境でこそスムーズになります。
冷えやすい方は、まず「下半身・お腹・首元」を温めましょう。
おすすめの方法:
- 腹巻き・レッグウォーマー・湯たんぽの活用
- 毎日お風呂につかる(シャワーだけで済まさない)
- 生姜・ねぎ・シナモンなどの温め食材を活用
冷たい飲食物、生野菜、アイスなどは控えめに。
②血の流れを助ける食材をとる
「活血(かっけつ)」=血の巡りをよくする作用を持つ食材を意識しましょう。
おすすめ食材:
- 黒豆、くり、さんざし
- あぶらな、オクラ、菊花、くわい、なす、にら、れんこん、にんにく、ねぎ、パセリ、みょうが
- もも
- 赤貝、かたくちイワシ、さけ
- サフラン、酢の物
また、食後すぐ横になる習慣も巡りを悪くするので、軽く動くのも効果的です。
③軽い運動やストレッチを習慣に
血は「動かすことで巡る」と言われます。
- ウォーキングやラジオ体操
- ヨガやストレッチ、太極拳
- 足首回しやつま先立ちなど、ふくらはぎを刺激する運動
「ポンプの役割を果たす下半身を動かす」のが、血流改善に有効です。
④滞った血の巡りを助ける漢方薬の考え方
血瘀(けつお)は、体内の「血(けつ)」の流れが滞り、痛みやしこり、くすみなどの症状が現れる状態です。
中医学では、「活血化瘀(かっけつかお)」といって、滞った血を動かして流すことで、体を本来のリズムに戻していく処方が使われます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血の巡りをよくしながら、体の冷えやむくみも改善する処方です。特に、「下腹部のしこり」「月経痛」「肌トラブル」など、女性特有の血の滞りに使われることが多いです。
中医学では「瘀血内停(おけつないてい)」と呼ばれる状態に対応します。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
さまざまな痛みによく使われる処方です。気や血を巡らせたり、血を滞らせる原因となっている余分な水や熱を排除したり、不足した血を増やしたりする作用のある処方です。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
「熱と血瘀」が結びついて、便秘やイライラ、月経痛などが強いタイプに用います。
滞りが深く、体の中に“こもった熱”を伴っている方に適した処方です。
通導散(つうどうさん)
体のあちこちに滞りがあり、便秘、腹部膨満感、月経の不調など、さまざまな症状が同時に現れるようなタイプに使います。
血だけでなく「気」や「水」も一緒に滞っている“複雑な渋滞”に対して、全体をスムーズに流す処方です。
血瘀体質は、単なる「血の問題」だけでなく、「冷え」や「ストレス」などが関与していることも多いため、体質をしっかり見極めることが大切です。
◆血瘀タイプへのメッセージ

血瘀体質の方は、真面目で我慢強く、ついつい自分のことを後回しにしてしまう傾向があるかもしれません。
でも、「つらい」と感じている痛みや不調には、ちゃんと意味があります。
それは、体からの「もっと楽に生きていいよ」というメッセージかもしれません。
体をあたため、やさしく動かし、少しずつ“巡りのある毎日”を取り戻していきましょう。
あなたの体と心が軽やかに流れ出す日が、きっと来ます。
次回は「湿痰(しったん)タイプ」についてご紹介します。
「体が重だるい」「むくみやすい」「痰がからむ」などの症状が気になる方は、ぜひご覧ください。
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