こんにちは。扇町漢方クリニックの院長、大沢です。
今回は、潤い不足からくる“のぼせや不眠”について漢方でできるアプローチをご紹介します。
【こんなことはありませんか?】
・顔が赤くなりやすく、のぼせることがある
・口が渇いて水をよく飲む、特に夜間に喉が渇く
・イライラしやすく、怒りっぽくなることがある
・夜中に目が覚めやすく、眠りが浅い
・目が乾きやすく、疲れ目・かすみ目がある
・めまい、耳鳴り、頭が熱っぽいような感覚がある
これらの症状が重なる方は、「陰虚(いんきょ)」に「肝火上炎(かんかじょうえん)」が加わった、潤い不足から熱がこみ上げるタイプかもしれません。
【“陰虚 × 肝火上炎”ってどういう体質?】
「陰虚」は体の潤いが足りず、冷静さや静けさを保てない状態。
そこに「肝火上炎」が重なると、潤い不足が原因で“余分な熱”が上半身にこもってくる”という状態になります。
特にストレスや怒りなどの感情が絡むと、熱が急に上がり、のぼせや不眠などの症状が強まる傾向があります。
【よくある症状・傾向】
- 手のひら・足の裏が熱っぽい
- 夜間の寝汗・ほてり・のぼせ
- 怒りやすい・イライラしやすい・感情が爆発しがち
- 目の充血・かすみ・乾き・チカチカ
- 頭痛・耳鳴り・めまい・動悸
- 不眠・寝つきが悪い・途中で目覚めてしまう
【漢方的アプローチと処方の考え方】
このタイプには、「潤す」と「鎮める」のバランスが大切です。
陰を補って土台を整えつつ、上に昇った“火”をしずめてあげることが養生の鍵となります。
🔸 代表的な処方
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん):腎陰虚+ほてり・寝汗に
- 天王補心丹(てんのうほしんたん):陰虚からくる心火を鎮め、不眠・イライラに
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):怒りっぽさ・不安・動悸・イライラなど「肝火」の亢進を整える
🌿セルフケアのポイント
POINT ✅ 体を「潤す」食材をとる+「冷ましすぎない」ように注意
→ 梨、百合根、山芋、豆腐、黒ごま、クコの実、麦門冬など
→ 体を冷やしすぎるもの(アイス・冷たい飲料)は逆に胃腸を傷めやすいため注意。
✅ “陰の時間”を大切にする生活リズムを
→ できれば22時~23時頃までに就寝を意識し、夜は静かに心を鎮める時間に。
✅ ストレス発散より、“熱を下げる”心のクールダウンを
→ 感情が爆発する前に深呼吸、アロマ、音楽、書くなどの静かな発散法を。
✅ スマホやPCの見過ぎに注意
→ 目の酷使は肝を傷め、火が上がりやすくなります。特に就寝前は控えめに。
【このタイプのあなたへ、ひとこと】
「なんだか落ち着かない」
「いつも頭が熱っぽい」
「寝つけない」
そんな状態が続くと、さらに焦ってしまいますよね。
このタイプに必要なのは、静けさ・潤い・ゆるやかな時間です。
熱くなった心と体に、やさしく涼しい風を送ってあげるような感覚で、
まずは、深呼吸ひとつからはじめてみてください🌿
次回は、
「第4回|陽虚 × 湿タイプ:冷えと重だるさがつきまとう“内側の冷湿”体質へのケア」 をお届けします。
どうぞお楽しみに😊
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