
こんにちは。扇町漢方クリニックの院長、大沢です。
梅雨は“湿邪(しつじゃ)”との勝負どき。
胃腸が弱る前に対策しましょう!
梅雨どき、こんな不調が気になりませんか?
・体がだるくてやる気が出ない
・食欲がわかない、胃がもたれる
・頭が重い、めまいがする
・湿気で気分まで沈みがちに…
梅雨の時期は、気温と湿度が一気に高くなり、体にも心にも重だるさを感じやすくなります。
漢方ではこの時期、「湿(しつ)」という邪気が体に入り込み、胃腸を中心にさまざまな不調を引き起こすと考えられています。
中医学でみる「湿邪」の影響
「湿邪」とは、空気中の湿気と体内の水分バランスが崩れたときに起こる、重くて停滞しやすい邪気のこと。
湿邪に侵されると、体の巡りが悪くなり、特に以下のような不調が起こりやすくなります。
・胃腸の働きが落ち、食欲不振・消化不良に
・余分な水分がたまって、むくみ・下痢・重だるさに
・頭痛・関節痛・めまいなどの“重さ”がある症状に
・湿気によって気分も落ち込み、集中力も低下
特に日本の梅雨は高温多湿で長いため、胃腸の弱い方や元々むくみやすい体質の方にとってはつらい季節になります。

日本の梅雨は長くて高湿度。
特に胃腸が弱い人は要注意です!
梅雨~初夏の体質別・漢方的アプローチ
🔹 湿気で胃腸が弱っているタイプ(脾虚+湿困)
・食欲がない、疲れやすい、下痢気味
→ 胃腸を元気にして、湿気を追い出す処方(例:六君子湯、香砂六君子湯)
🔹 体に湿気がたまって重だるいタイプ(痰湿)
・むくみ、頭が重い、体がベタつく感じ
→ 水分代謝を助けて、巡りをよくする処方(例:平胃散、苓桂朮甘湯)
🔹 ストレスや気の滞りが影響しているタイプ(肝脾不和)
・お腹が張って苦しい、便秘と下痢を繰り返す
→ 気の巡りと胃腸の調和を図る処方(例:半夏瀉心湯、柴胡疏肝散、逍遥散)
🔹 冷えと湿が混ざっているタイプ(寒湿)
・お腹が冷える、軟便・下痢、食欲がない
→ 体を温めつつ、余分な湿を取り除く処方(例:藿香正気散、参苓白朮散)
🌿タイプ分けについてのご案内🌿
ここでご紹介したタイプはあくまで目安となるもので、
実際には「ぴったりこのタイプ!」という方もいれば、
いくつかのタイプが重なっている方も少なくありません。
その場合は、状態に合わせて、
- 複数のタイプに対応する処方を組み合わせたり
- あえて一つのタイプに照準を絞って処方を決めたり
と、柔軟に調整していきます。

「自分はどれに当てはまるんだろう?」と迷った場合も、どうぞご安心ください。
診察では、丁寧にお話を伺いながら、あなたにぴったりの方法をご提案します。
“湿”をためこまない生活習慣 4か条
POINT
✅ 温かく消化に良い食事をとる
冷たい飲み物や生ものは控えて、スープ・煮物・発酵食品などを中心に。
✅ 朝は白湯やお味噌汁でスタート
胃腸をやさしく目覚めさせて、1日を快調に。
✅ 軽く汗をかく運動を習慣に
湿を外に出すには、呼吸と代謝を活性化することが大切です。
✅ 香りのよい食材・ハーブで気を巡らせる
しょうが、しそ、レモングラスなど、気を動かす香りは湿気払いに◎
“梅雨バテ”を乗り越えて、夏を元気に迎えよう
「だるさや胃腸の不調が毎年この時期に出る…」という方は、
それが“季節からのメッセージ”かもしれません。
漢方では、季節ごとの変化を味方にしながら、無理なく体を整えていくことを大切にしています。

“梅雨バテ”は体からのSOSサイン。
毎年この時期に同じ不調が出るなら、早めのご相談が安心への近道です。
漢方で湿邪をさばき、元気に夏を迎えましょう!
次回は、暑さ本番に向けて、夏の体力消耗と“熱のこもり”への養生をテーマにお届けします。
体の声を大切にしながら、次の季節も健やかに過ごしていきましょう。
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