
こんにちは。扇町漢方クリニックの院長、大沢です。
今回は春になると起こりやすい花粉症やイライラなどの不調と、
それをサポートする漢方的ケアについて、わかりやすくお話ししていきますね。
春になると、こんな不調ありませんか?
・花粉症がつらくて、外出がおっくうになる
・目のかゆみ、鼻水、くしゃみが止まらない
・なんだかイライラしやすい
・夜になると気持ちがソワソワして眠れない
春は、気温も明るさも上昇し、植物たちが芽吹き始める「伸びる」「広がる」季節。
でもその一方で、私たちの体や心にも「揺らぎ」や「過敏さ」が出やすくなる時期です。
漢方では、春は「肝(かん)」の働きが盛んになる季節とされています。
この「肝」は、感情・血の巡り・気の流れなど、多くのバランスを司(つかさど)っています。
つまり、春は心と体の調和が崩れやすく、さまざまな不調につながりやすい時期なのです。
漢方でみる春の不調とは?
春の不調にはいくつかの背景があります。
- 肝のエネルギーが活発になりすぎて、イライラや不眠に
- 肝がストレスの影響を受けやすく、気の巡りが停滞しやすい
- 冬の寒さで肺に“熱”が発生して肺の潤い(陰)が減り、アレルギー症状が出やすくなる
そのため、春に出やすいのはこんな不調です
・花粉症(鼻水・くしゃみ・目のかゆみ)
・のぼせ・顔のほてり・寝汗
・イライラ・落ち込み・緊張感
・睡眠の質の低下
・頭痛・肩こり・めまい
春の不調タイプ別・漢方ケア
🔹 肝気の高ぶりタイプ(肝気上昇)
・目のかゆみや充血が強い、怒りっぽい、眠れない
→ 肝のエネルギーの上昇を抑え、心身の興奮を鎮める(例:抑肝散、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蛎湯)
🔹 気の巡りが悪いタイプ(肝気鬱結)
・ため息、胸やお腹の張り、気分の波
→ 気を巡らせて、心も体も軽やかに(例:逍遥散、香蘇散)
🔹 体表の陽気の巡りが低下し、肺が冷えて働きが低下するタイプ(表寒)
・くしゃみ、鼻水、風邪をひきやすい
→ 肺を温めて、鼻水や咳を軽減する(例:小青竜湯)
🔹 肺に“熱”が発生して肺の潤い(陰)が減るタイプ(肺熱+肺陰不足)
・鼻づまり、鼻炎、蓄膿症
→ 炎症を鎮め、水分代謝を促す(例:辛夷清肺湯)
🔹 潤い不足タイプ(陰虚)
・粘膜の乾燥、のどの渇き、微熱、不眠
→ 体に潤いを与え、過敏な反応をやわらげる(例:麦門冬湯、天王補心丹)

ざっとこんな感じですが、これが全てではありませんし、
処方例もごく一例に過ぎません。
🌿タイプ分けについてのご案内🌿
ここでご紹介したタイプは、あくまで目安となるもので、実際には「ぴったりこのタイプ!」という方もいれば、いくつかのタイプが重なっている方も少なくありません。
その場合は、状態に合わせて、
- 複数のタイプに対応する処方を組み合わせたり
- あえて一つのタイプに照準を絞って処方を決めたり
と、柔軟に調整していきます。

「自分はどれに当てはまるんだろう?」と迷った場合も、どうぞご安心ください。
診察では、丁寧にお話を伺いながら、あなたにぴったりの方法をご提案します。
春の生活養生:心と体を軽やかに
POINT
✅ 朝は早めに起きて、軽く散歩する
→ 春の風に触れることで、気の巡りが良くなります。
✅ 香りのある食材を取り入れる
→ しそ、春菊、柑橘類、みょうがなどは気を巡らせる作用があります。
✅ 無理な計画を立てすぎない
→ 春は体も心も不安定。やることを詰め込むと余計に不調を招きます。
✅ 爪や目の疲れは肝のサイン
→ スマホ・PCの時間を意識して減らしましょう。
春を気持ちよく迎えるために
「春になると決まって調子を崩す」
そんな方は、その原因が“春の肝”にあるかもしれません。
漢方は、季節の変化に寄り添いながら、あなた本来のリズムを取り戻すお手伝いができます。

今年の春こそ、体も心も軽やかに過ごしたい。
そんな願いが叶うよう、私たちも全力でサポートいたします。
気になることがあれば、お気軽にご相談くださいね。
コメント