
こんにちは。扇町漢方クリニックの院長、大沢です。
「体質別セルフケアシリーズ」第2回は、《気滞(きたい)》タイプについてです。
「なんとなく気分が落ち込む…」
「イライラしやすい」
「ため息ばかりついてしまう」
こうした症状、心当たりはありませんか?
漢方では、こうした状態を「気の流れが滞っている=気滞」と捉えます。
今回は、この気滞体質の特徴や原因、心と体をスムーズに整えるセルフケアを、やさしくご紹介します。
◆気滞とは? ~“気”がスムーズに流れない状態~
漢方でいう「気(き)」は、体や心のエネルギー。血や水分の流れにも関わっており、まさに“流れる力”です。
この気が、ストレスや緊張などで「滞ってしまう」と、気分の変動や体の不調として現れます。
この状態を「気滞(きたい)」といいます。
滞った川が濁るように、体のなかの流れもスムーズでないと、さまざまな不調につながります。
◆気滞タイプの主な特徴
気滞の方には、次のような症状が多く見られます
・イライラしやすい、怒りっぽい
・ため息がよく出る、胸がつかえる
・頭痛や肩こりが慢性的にある
・生理前に不調が出る(PMSが強い)
・お腹が張る、ゲップやガスが多い
・便秘と下痢をくり返す
・喉に違和感がある(“梅核気”と呼ばれます)
気滞の方は、とても感受性が豊か。心と体がつながっていることを、まさに実感する体質です。
神経質で几帳面な人に多い傾向があります。
◆気滞の原因になりやすい生活習慣
気の滞りは、主に「ストレス」や「感情の抑圧」から起こります。
・心の緊張が続く環境 : 人間関係・仕事のプレッシャーなど
・感情を押し込めがちな性格 : 本音を言えない、我慢する傾向
・不規則な生活や偏った食事 : 特に甘いものや脂っこいものの過剰摂取
気滞体質の人は、自分の気持ちに気づきにくかったり、「頑張りすぎ」や「我慢ぐせ」がある場合も多いです。
◆今日からできる!気滞のセルフケア
気滞のセルフケアは、「気をめぐらせて、スムーズに流す」ことがカギになります。
大切なのは、“ゆるめる・発散する・香りを活用する”ことです。
①香りを取り入れてリラックス
香りには、気の流れをスムーズにする作用があるとされます。
特に柑橘系の香りは、気分をパッと明るくしてくれます。
おすすめの香り
- 柚子、オレンジ、グレープフルーツなどの柑橘系
- ラベンダーなど、リラックス系アロマ
アロマオイルをティッシュに1滴垂らして枕元に置くだけでも、気持ちが整いやすくなります。
②深呼吸+ストレッチでめぐりアップ
気滞タイプは、胸やお腹に「つかえ」を感じることが多いです。
深く呼吸して、胸を開き、ストレッチを取り入れるだけでも、気が動きやすくなります。
特におすすめは、胸を開くストレッチや、脇腹を伸ばすポーズ。
ヨガのようなゆったりした動きや、ラジオ体操も◎。
③自分の感情に気づいて、言葉にする
気滞の方は、感情を“ためこむ”ことで気の流れを滞らせがちです。
「本当はどうしたかったんだろう?」「今、どんな気持ち?」と、自分に問いかけてみてください。
また、信頼できる人に話す、日記に書くなど、“感情を表現すること”がとても大切です。
④「理気」作用のある食材や漢方を取り入れる
食事でも、気の巡りを助けることができます。
おすすめの食材
- そば
- 香味野菜(春菊、三つ葉、しそ、セロリ)、大根、玉ねぎ、ピーマン、らっきょう
- 柑橘類(みかん、レモン、グレープフルーツ、すだち)
- ジャスミン茶、はまなす茶、ういきょう
気の巡りを整える漢方薬の考え方
気滞タイプでは、ストレスや感情の抑圧によって「気の流れ」が滞ることで、心や体に不調が起こります。
中医学では「理気(りき)」と呼ばれる作用をもつ漢方薬を使って、気をスムーズに流すお手伝いをします。
香蘇散(こうそさん)
外からのストレスや環境の変化で気分がふさいだとき、特に「気の滞り」が胃腸に影響して食欲が落ちるような場合に使われます。
体質としては、ストレスに敏感で、気圧や天候で体調を崩しやすい人に向いています。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
喉のつかえ感(梅核気:ばいかくき)や、気分が落ち込んで息苦しいといった、ストレスが体に現れやすいタイプに適しています。
中医学では「気の停滞によって痰がからむ(気滞痰結)」と考えられています。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
主に女性によく用いられる処方で、イライラや不安、月経前症候群(PMS)など、ホルモンバランスの乱れと気の停滞が関係する症状に対応します。
「肝の気滞(かんのきたい)」という状態を整えることで、心と体の調和を図ります。
漢方では、気の滞りは感情やストレスの影響を強く受けるとされています。
「気をゆるめて流す」ことで、心も体も軽くなっていきます。
◆気滞タイプへのメッセージ

気滞タイプの方は、とても繊細でがんばり屋さん。
その分、自分の感情や不安を我慢しすぎてしまうこともあります。
大切なのは、「感情は流していいもの」だと知ること。
ため込まず、少しずつ外に出していくことが、心と体のめぐりを助けます。
ゆっくり深呼吸して、心をゆるめてあげてください。
あまり神経質にならずに、頑張るところと緩めるところをバランス良くとって、心にゆとりを作りましょう。完璧を求めないでいきましょう。
できれば、楽しくワクワクするような時間を過ごしたり、声を出して笑う時があるような生活を目指しましょう。そのことで「気」が全身に巡りやすくなります。
次回は「血虚(けっきょ)タイプ」についてご紹介します。
「顔色が悪い」「集中力が続かない」などの悩みをお持ちの方は、ぜひご覧ください。
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