
こんにちは。扇町漢方クリニックの院長、大沢です。
今回は、夏の暑さで“バテやすい・眠りにくい”といったお悩みを感じている方に向けて
漢方でできるアプローチをご紹介しますね。
夏のこんな不調、感じていませんか?
・暑さで食欲が落ちる、胃がもたれる
・体がだるくて何もする気が起きない
・顔や体がほてり、汗をかきすぎて疲れる
・夜になっても体が火照って眠れない
・イライラしやすく、心が落ち着かない
夏は陽気(=体を温めるエネルギー)が最も高まる季節。
私たちの体も“熱”と“汗”と“消耗”に左右されやすくなります。
東洋医学では、「心(しん)」と「脾(ひ)」の働きが乱れやすい季節となり、
精神面・消化器系のトラブルが起こりやすくなります。
中医学でみる“夏の不調”の原因
夏に体調を崩す原因は、大きく分けて3つあります。
🔸暑さによる熱のこもり(暑邪)
体に熱がたまり、のぼせ・頭痛・イライラなどを招く
🔸汗のかきすぎによる“気”と“水分”の消耗
エネルギーと潤いが不足し、疲れやすくなる
🔸冷たいものの取りすぎによる胃腸の弱り
食欲不振、腹痛、下痢などの消化器症状につながる
これらが重なると、不眠・不安・動悸など“心”の症状や、いわゆる夏バテが起こります。
夏の体質別・漢方的アプローチ
🔹 暑さで熱がこもっているタイプ(心火上炎)
・顔が赤くほてる、口が渇く、イライラ、不眠
→ 体にこもった熱を冷まし、心の安定を取り戻す(例:黄連解毒湯、竹茹温胆湯)
🔹 気と水分が不足しているタイプ(気陰両虚)
・疲れやすい、汗が止まらない、息切れ、喉の渇き
→ 気と潤いを同時に補い、体力を回復(例:生脈散、清暑益気湯)
🔹 冷たいものの摂りすぎで胃腸が弱っているタイプ(脾胃虚寒)
・食欲不振、下痢、むくみ、腹部膨満感
→ 胃腸を温め、消化吸収力を高める(例:人参湯、六君子湯)
🔹 精神的に不安定になりやすいタイプ(心陰虚)
・寝つきが悪い、夢が多い、動悸、不安感
→ 心を穏やかに整える処方で安心できる眠りへ(例:天王補心丹、酸棗仁湯)

実際はタイプが重なる場合もよくあります。
診察で体質を詳しくうかがい、最適な処方を一緒に考えましょうね。
🌿タイプ分けについてのご案内
ここでご紹介したタイプは、あくまで目安となるもので、実際には「ぴったりこのタイプ!」という方もいれば、いくつかのタイプが重なっている方も少なくありません。
その場合は、状態に合わせて、
- 複数のタイプに対応する処方を組み合わせたり
- あえて一つのタイプに照準を絞って処方を決めたり
と、柔軟に調整していきます。

「自分はどれに当てはまるんだろう?」と迷った場合も、どうぞご安心ください。
診察では丁寧にお話を伺いながら、あなたにぴったりの方法をご提案します。
夏を快適に過ごす生活養生のヒント
POINT
✅ 冷たい飲み物はほどほどに
冷たいものは、胃腸の働きを弱めて水はけが悪くなる原因になります
氷入りドリンクはできるだけ控えて、ぬるめのお茶や白湯を習慣に。
ただし、熱中症対策としては冷たい飲み物が有効な場合もあるので臨機応変に。
✅ 胃腸をいたわる“消化にやさしい食事”を
素麺や冷やし中華もたまには良いですが、雑炊・蒸し野菜・おかゆなどを選ぶ日も。
✅ 夕方~夜は熱を鎮める時間
お風呂はぬるめに、照明も落として「熱を冷ます」環境づくりを。
✅ 汗をかいたら、しっかり拭いて着替える
汗を放置すると“湿邪”となって体を冷やす原因に。
夏の暑さと仲良く付き合うために
「夏になると決まってバテてしまう」「夜になると火照って眠れない」
そんな方は、体の中に“熱”がたまりやすいのかもしれません。
漢方では、自然のリズムに合わせて
**“冷ましすぎず/ためこみすぎず/巡らせる”**ことを大切にしています。
今年の夏は、ぜひ体の内側からの整え方を意識して、
暑さと上手に付き合ってみませんか?
おわりに

夏バテや不眠、イライラでお困りなら、私たちにご相談ください。
あなたの体質や生活スタイルに合わせた漢方ケアで、
この夏をいきいきと過ごせるよう全力でサポートいたします!
次回は、秋の乾燥トラブルに注目した『秋編:肺を守り、潤いを保つ漢方ケア』をお届けします。どうぞお楽しみに。
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