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体質別セルフケア

【体質別セルフケア⑧】冷えやすくて元気が出ないあなたへ~陽虚タイプの整え方~

大沢

こんにちは。扇町漢方クリニックの院長、大沢です。
「体質別セルフケアシリーズ」もいよいよ最終回。今回は《陽虚(ようきょ)》タイプについてです。

「体が冷えてつらい」
「疲れやすく、元気が出ない」
「下痢をしやすい、むくみやすい」
このような症状が気になる方は、《陽虚体質》かもしれません。

漢方ではこの状態を「体を温める力(陽気)が不足している」と捉えます。
この記事では、陽虚体質の特徴と原因、日常生活での整え方を、わかりやすくご紹介します。

◆陽虚とは?~体を温める“陽の力”が足りない状態~

中医学でいう「陽(よう)」は、体を温め、巡らせ、動かすエネルギーです。
陽があるからこそ、体温が保たれ、消化が進み、排泄もスムーズに行われます。

この陽が不足すると、体が冷えて働きが鈍くなり、元気が出なくなってしまいます。
つまり、陽虚とは“エネルギー不足+冷え”の状態なのです。

陽虚タイプの主な特徴

以下のような症状に当てはまる方は、陽虚体質の可能性があります。

・顔や手足がほてる(特に夕方~夜)
・寝汗をかく、暑くもないのに汗ばむ
・喉や口が乾きやすい、肌もカサカサ
・便がコロコロしている、または便秘気味
・落ち着かず不安感がある、眠りが浅い
・舌の色が赤く、苔が少ないまたはない

「とにかく冷える、動けない、疲れる」といった状態が続くのが特徴です。

陽虚の原因になりやすい生活習慣

陽虚を引き起こす要因には以下のようなものがあります:

  • 冷たいものや生ものの摂りすぎ(冷水、アイス、刺身など)
  • 過労や慢性的なエネルギー消耗(仕事・育児・介護など)
  • 過度なダイエットによる栄養不足
  • 加齢による腎陽の低下(特に中高年以降)
    ※「腎陽」とは「腎」に蓄えられている「熱」です。
  • もともとの体質としての虚弱

陽虚体質は、エネルギーの“炉”が小さく、燃える力が弱くなっている状態です。

今日からできる!陽虚のセルフケア

陽虚体質のケアでは、「体を温めて、エネルギーを補う」ことが大切です。

体を内側から温める食材を選ぶ

おすすめの食材:

  • しょうが、ねぎ、にんにく、シナモン
  • 鶏肉、羊肉、鹿肉などの温性たんぱく質
  • にんじん、かぼちゃ、山芋、黒豆
  • なつめ、くるみ、黒ごま

避けたいもの:

  • 生野菜、冷たい飲み物、果物(特に南国系)
  • アイス、ヨーグルト、牛乳など身体を冷やすもの

温かいスープや煮込み料理にすることで、消化しやすく、胃腸も冷やさず安心です。

冷えない生活習慣を意識する

  • 冷えやすい腰・お腹・足元を重点的に保温
  • お風呂はシャワーではなく、湯船にゆっくりつかる
  • 寝るときは腹巻きやレッグウォーマーを活用
  • 冷房の風が直接当たらないよう注意

また、長時間の座りっぱなしやじっとしていることも巡りを悪くします。

こまめに体を動かすのも良いことです。

「気(エネルギー)」と「陽(温める力)」を一緒に補う

陽虚の方は、単に冷えを取るだけでなく、体を温める“力そのもの”を育てることが大切です。

心臓の拍動を含め筋肉の収縮によって熱が作られますので、日頃の運動量が多いほど「陽」が多くなりやすいと言えます。

ただし、疲れすぎないよう意識し、休養をしっかり取ることも大事です。また、ワクワク楽しいことなど気分の高揚によっても熱が産生されます。

逆に、運動不足であったり、抑うつ感の多い生活は、「陽」の不足を招く原因となります。

陽を補い、冷えを改善する漢方薬の考え方

中医学では、陽虚に対して「温陽補腎(おんようほじん)」や「補気温中(ほきおんちゅう)」と呼ばれる処方を使い、体の内側から温める力を育てます。

◆代表的な漢方薬

八味地黄丸(はちみじおうがん)

→ 「腎陽(じんよう)」の衰えを補う処方です。
特に、手足の冷え、頻尿、むくみ、腰のだるさなど、加齢や体力低下に伴う陽虚に使われます。

真武湯(しんぶとう)

→ 下痢、むくみ、体がだるく冷える、汗をかきやすいなど、「脾腎陽虚(ひじんようきょ)」に対応します。
胃腸が弱って冷えているタイプの冷え・疲れに適しています。

人参湯(にんじんとう)

→ 胃腸の陽気を温め、「中(脾胃)」を補う処方です。
特に、食欲不振・下痢・寒気がある方におすすめされます。

陽虚体質は、単なる“冷え”ではなく、「温める力の不足」による根本的なエネルギー低下の状態です。
しっかりとエネルギーの源を育てる漢方の視点が、症状の改善につながります。

陽虚タイプへのメッセージ

大沢

陽虚タイプの方は、優しく、静かなエネルギーを持つ反面、自分のエネルギーを後回しにしがちな傾向があります。
「冷えは我慢するもの」ではなく、「整えるもの」です。
まずは、自分を温め、いたわる暮らしから始めましょう。
陽の火が少しずつ育っていくと、体も心も、きっと芯からあたたまっていくはずです。

これで全8タイプの「体質別セルフケアシリーズ」が完結となりました。
一人ひとりの体質に合ったセルフケアを続けることで、日々の不調が和らぎ、自分らしい健康の形が見えてくるはずです。

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